というわけで一個前のエントリにあるとおり、わりと短期間で調布と川口をいったりきたりすることになった。独り身の引越なのでキャリーでごろごろ運べばいいかなとおもってやったみたのだが、ともかく駅が面倒である。いかに階段を使わずに移動するかを考えるのはパズルのようで楽しくもあったが、ときにどう進めばよいか分からず案内図とにらめっこすることもあった。正直この知識は後世のために伝えていくべきなのではないかという思いを持ったので、とりあえずここで公開してみる。
調布駅ダンジョン
調布駅ダンジョンはこの種のダンジョンとしては標準的か、いっそ小さい部類に入る。かつて調布駅はホームまでの通路が地下で、階段でしかアクセスできなかったので、いきなり出だしで詰んでしまうところだったのだが、最近の工事でエレベーターがついた。大変喜ばしい。また京王線の駅には「地上までのバリアフリー主要ルート」とかいうのが設定されており、これはいきなりダンジョン攻略図が表示されているようなもので、とても助かるのでぜひ利用しよう。駅構内でえんじ色の「ごあんない」の看板に書いてあるぞ(Webからも「車いすをご利用のお客様の移動経路」として確認できる)。
新宿駅ダンジョン(前半)
おまえらもご存知のとおり、新宿駅ダンジョンはウメダ・メイエキ・ヤエスの日本三大地下ダンジョンとも並び称される、本邦屈指のダンジョン複合施設である。ここは考えなしに突き進んでしまうとバリアフリー経路はおろか自分の所在すら分からなくなってしまう。最初から綿密な計画でもって挑みたい。
とはいえ、新宿駅のダンジョン群の中でも最初に遭遇する、京王線新宿駅ダンジョンを突破するのは実はそんなに難しくない。というのも例の「車いすをご利用のお客様の移動経路」があるからだ。また京王線新宿駅には何か所か改札があるが、じつはそれらはどれも小田急エース南館ダンジョンと京王モールダンジョンで相互に水平移動可能なので、間違えてもリカバー可能である。恐れずに進もう。ただし小田急エースや京王モールだって新宿駅のダンジョン群を構成する施設であるから、それなりの規模を持っており、通り抜けができるからといってどこに出てもいいや、とまでは言いづらい。できるだけ無駄のない歩き方をしたい、となると、正解はJR西口方面へ抜ける改札である。でもなんで? その理由を解説するには少々の予備知識が必要だ。
乗り換えの計画
さて、いまおまえらは新宿駅にいて、目的地は川口駅だ。川口駅はJR京浜東北線しか通ってないから、最終的に京浜東北線に乗り換えるような経路を考えないといけない。実質的な選択肢は以下の4つだ。
- 埼京線・湘南新宿ラインを北行して赤羽で乗り換え
- 山手線外回りで田端で乗り換え
- 中央総武各駅停車で秋葉原乗り換え
- 山手線内回りの品川から田端のどっかで京浜東北線へ
ここで「中央線快速で神田で乗り換えれば?」とか思ったおまえらは健常者である。なぜなら神田駅ダンジョンにはエレベーターが設置されてないのだ。神田駅で乗り換えようかと思うと、あの特徴的なクソ狭い階段を必ず昇降しないといけないのだ(エスカレーターはある。ただし上向きだけ)。なので、神田駅というのはバリアフリーの経路としては避けるべきダンジョンなのである。また「中央線快速で東京で乗り換え」は実際可能だが、JR東京駅ダンジョンはそれ単体が超弩級の大ダンジョンであるのみならず、上で紹介した八重洲地下通路群ダンジョンなどにシームレスに連携する。ダンジョン複合施設としてみた東京駅の広さは間違いなく日本一で、迷ったときのリスクが半端じゃないので、ここでの乗り換えは避けるほうがよい。
なお「湘南新宿ラインを南行して横浜で乗り換え」とか「中央線で西国分寺に出て武蔵野線で南浦和に」とかの荒唐無稽な乗り換えははなから考慮してないのでよろしく。
というわけで上記の4つの選択肢だが、実は一長一短である。一番遠回りに思える山手線内回りは、しかし京浜東北線と並走しているところでの乗り換えは圧倒的に簡単だ。逆に最短経路である埼京線は混みすぎてて、乗り降りに不安がある上に、新宿駅の埼京線ホームにバリアフリーで到達するには、新宿駅ダンジョンを隅から隅まで楽しみ尽くす必要がある(つまり必ず一回以上は迷う)。
そんなわけで色々考えてみると、やはり一番重要なのは新宿駅での乗り換えではないかと思う。ここさえどうにか脱出できれば、後は些細な問題ではないだろうか? そういう基準で選ぶと、一番おすすめなのは秋葉原乗り換えとなる。なぜならJR新宿駅に接続するすべての路線の中で唯一、中央線のホームだけが、東口・西口直結のエレベーターを装備しているからだ。
新宿駅ダンジョン(後半)
ダンジョン攻略に戻る。当面の目標はJR西口改札の先にある、構内唯一のエレベーターを発見することである。京王線新宿駅ダンジョンからは新宿西口地下広場に出るコンコースがある。ここを目指そう。西口地下広場に出るまでにちいさい階段があるが、そこは左手にスロープが設置されているので回避可能だ。小田急を突き抜けてJR西口改札を通り、東口ではなく中央東口を目指そう。その直前のあたりが中央線快速のホームだ。左右をよく見回してエレベーターを発見しよう。
見つけられない場合は(まあほとんどの人が最初はそうだと思うが)、まずBECK’Sを探すとよい。BECK’Sの前に立って中央線の方を見ると、都市迷彩で風景に溶け込むようにして、エレベーターが実は視界に入っているはずである。だまし絵を見るつもりで風景を一歩引いて眺めていると、やがて浮かんでくる。健闘を祈る。
(BECK’Sの付近からエレベーターを見る。ただしこれは、とびきり見通しのよい画を撮らんとわざわざ眠い目を擦りながら始発で新宿駅に向かい、日曜の朝5:20に撮影したものであるから、このくらいの混雑度で済んでいることに注意。普段は人ごみに紛れてもっと見えづらい。)
実は中央線ホームは使いでのよいホームである。わりと最近できたからか、既述の通りエレベーターの設置が豊富である上に、すべてのコンコースと両方向のエスカレーターで繋がっている。今回は荷物のサイズの関係でエスカレーターは使えなかったが、「階段はちょっと厳しいがエスカレーターならなんとか」という場合など、ともかく中央線ホームに出てしまえばそこを経由して必要な箇所にアクセスできるはずなので、ぜひ利用しよう。
今回は中央線ホームを経由してさらに「新宿駅ダンジョン」を潜りつづける必要はない。ここで東京方面ゆき快速に乗ってしまうからだ。
(コラム) バリアフリー南口
新宿駅南口を利用したことがあれば、南口構内にガラス張りのオサレなエレベーターがバカスカ林立しているのを知っているかもしれない。じつは新宿駅は東口・西口コンコースより南口コンコースのほうがバリアフリーが進んでいて、南口からだとすべてのJR線ホームにエレベーターでアクセスできる。東口・西口コンコースにそもそもエレベーターはおろかエスカレーターすらほとんどないのとは好対照である。また最近できた新南口・サザンテラス口コンコースにはエレベーターはないが、こんどはすべてのJR線ホームにエスカレーターでアクセスできる。JR新宿駅はコンコースごとに不思議な特徴があるのだ。
したがって南口にアクセスできればバリアフリー経路の幅は一気に広がる。京王線新宿駅ダンジョンから南口まで階段を使わない移動は可能か? というと、意外なことに実は可能である。京王線の改札を出たら、そのまま京王百貨店ダンジョンか小田急百貨店ダンジョンのどちらかに入ってしまい、百貨店のエレベーターで1Fに昇り、そこで外の道路に出てしまうのだ。あとは京王百貨店ダンジョン、ルミネ1ダンジョン、小田急ミロードダンジョンの前の公道を順にぐるーっと回って南口に至る。この間、坂道はあっても階段はない。
ただし、とんでもなく遠回りである。モザイク通りダンジョンをバリアフリーで突破できれば大幅に近道なので、やり方を知っている人はreblogなりなんなりして教えてほしい。
御茶ノ水駅ダンジョン
このダンジョンは地上に出ようとすると地獄を見るが(回りに病院とか多いんだから困ってる人は多いと思うんだがな)、地上に出ようと思いさえしなければ楽勝だ。並走する中央線から総武線に乗り換えるのは同じホームで左右に乗り換えるだけなので、なにも悩まないでいいだろう。注意するところがあるとすれば、千葉方面ゆきホームの先端のほうは段差があるので、中央線でできるだけ後ろのほうに乗ってたほうが段差を回避する必要がなくて楽とか、そのくらいだ。まあ新宿駅でエレベーターを使ったら普通に6号車に乗ってると思うから、気にしなくてよい。
秋葉原駅ダンジョン
秋葉原駅ダンジョンはけっして小さくない。むしろこれほど大きい駅は島根県にはないわけで俺から見れば「東京すげー」って感じだ。しかし、新宿駅をすでにクリアしたお前らならそんなに難しく感じることはないだろう。この駅も昔は階段での上下移動が不可避だったように記憶するが、多分つくばエクスプレスができたのと前後して各ホームにエレベーターが設置され、現在はふつうにバリアフリーである。実際に乗り換えを行うときは、いったん電気街口改札をめざすとわかりやすい。改札をでてしまう直前くらいに、道の真ん中にエスカレーターがある。くれぐれも反対向きの京浜東北線に乗らないように注意。
川口駅ダンジョン
ゴールは近い。この駅の特徴としてカーブの途中にあって降りるときに列車とホームが割と離れているというのがある。俺の場合、一回キャリーのタイヤが間に挟まって危なかった。
さて川口駅ダンジョンはちょっと構造が調布駅ダンジョンに似ている。オタっぽい言い方をすれば島式ホームの橋上駅舎だ。攻略法も一緒で、改札とホームの間に一ヶ所、そして改札外のペデストリアンデッキにあるエレベーターを基本的には昇って、降りる。シンプルな動作で脱出できるはずだ。
まとめ
実は最初は新宿駅が通り抜けられなくてUターンするしかないんじゃないかと思った。
しかし新宿駅はひどく複雑だが、一応のバリアフリー対応はなされているというのは少々驚いた。俺が小学生のころには家庭科の授業とかで「日本の社会はバリアフリーへの取り組みが遅れていて云々」とか教わったものである。ところが意外にも今回調べた限りではどうしてもNGなのは神田駅と御茶ノ水駅くらいで、それ以外はなんとかして乗り換えれるし、脱出できる。もちろん遠回りになったり不便にするところは多いが、それでもキャリーを抱えて階段を昇ることを半ば覚悟していたので、なんとか階段を使わずにいけると分かったときはうれしかった。日本のバリアフリーって案外進展してるじゃん。
でもやっぱ新宿駅はひどい。